クレアールで簿記1級の学習を始めて、わからない論点がありました。
それが総記法です。
という印象でしたが、テキストで次の総記法においての【商品売買益】を導き出す公式
商品売買益=商品勘定の決算整理前残高(前T/B)(貸方残高)+期末商品棚卸高
商品売買益=期末商品棚卸高ー商品勘定の決算整理前残高(前T/B)(仮方残高)
この2つの式の意味が全く分かりませんでした。
よくわからないので、ネットやYouTube動画でわかりやすく解説してあるものを探したのですが、どうもピンときません。
そんな総記法を、わかりやすく解説します。
この記事を読めば、上記の商品売買益を導く公式の意味も分かります。
おそらく3級の知識、三分法と決算整理仕訳がわかる人なら、理解できます。
解説していきます。
総記法とはどんなものなか?
ポイント
※総記法で処理している
決算整理前残高試算表(前T/B)の【商品】が××
今期の期末商品棚卸高が○○円
当期の売上高が□□円
当期の期首商品棚卸高が✕✕円
と与えられて
- 【商品売買益=(売上総利益)】
- 【売上原価】
- 【当期商品仕入高】
を求めなさい。
こんな問題を解くときに、記事の最初に書いた公式を使って【商品売買益】を導き出します。
公式を使えば解けるのですが、解答がわかったところで、『なんでこの公式が成り立つのか?』が分からなければ、すぐに忘れてしまいます。
この記事では上記の公式の意味を解説していきます。
総記法の基本の解説はこちら↓
総記法を三文法と原価ボックスで考える
上記の公式でわからない点はただ一つ
商品勘定の決算整理前残高(前T/B)
この正体がわからないからです。
この【前T/B】の内部構成がわかれば、公式の意味もわかります。
そこで、三分法を応用して考えると、理解できるようになります。
総記法や分記法での商品売買益は、売上総利益のことです。
三分法で、売上総利益を出す場合は
まず
- 「しーくりくりしー」の決算整理仕訳で売上原価を計算する
- 売上原価と売上との差額=売上総利益
しーくりくりしーは何をしているかというと
勘定科目【繰越商品】の数値は、損益計算書でいうと【期首棚卸商品残高】のことです。
前期末の商品残高です。
この数値を、仕入れ勘定に振り替えるので
しーくり
です。
くりしーは
当期中に仕入れたけど、期末に残った在庫分を、【仕入】から【繰越商品】に振り替えて、今期の仕入総額から差っ引いているのです。
結果
【期首棚卸商品残高】+【当期仕入商品高】引くことの【期末商品棚卸残高(売れ残り)】
これが【売上原価】になる
決算整理仕訳したものが【しーくりくりしー】
ですよね。
原価ボックスでわかりやすく解説すると、
原価ボックス図
この図は"商品の原価"の関係を表した図です。
内訳は
ポイント
借方
A=前期からの売れ残った商品(総額)『期首棚卸商品高のこと』
B=当期に仕入れた商品(総額)『当期商品仕入高のこと』
です。
貸方
C=売れた商品の原価(売上原価のこと)
D=当期に売れ残った商品の総額 (期末商品棚卸高のこと)
です
当然A+B=C+Dになりますよね。
”期首にあった商品の在庫の金額【A】と、当期に仕入れた商品の金額【B】の合計”
と
”売れて出ていった商品の原価【C】と、期末に残った商品【D】の合計”金額
は一致する。
という意味です。
金額を用いて具体例を出しますと
具体例
前期の売れ残りの商品(@100)が4個ありました。
今期の商品仕入高の総額は20個(@100)でした。
期中にトータル24個の商品内
21個が1つ120円(原価は@100)で売れました。
期末に棚卸をしたら3個売れ残っていた。
とした場合。
A=400
B=2,000
C=2,100(売上原価@100×21個)
D=300です。
このA+B=C+Dの関係がとても重要です
売上原価を出したら、当期の売上高から売上原価を引いたのが、売上総利益になります。
総記法で仕分けした場合の借方と貸方の【商品】勘定科目の内訳をみていきましょう
借方は
- 前期の売れ残りの商品残高
- 当期の仕入れた商品の総額
この二つの合計です。
貸方は
商品の販売価格の合計なので
三分法での【売上】そのものです。
貸方の
- 前期の売れ残りの商品残高(期首商品棚卸残高)
- 当期の仕入れた商品の総額
合計は、原価ボックス『A+B=C+D』から考えると
機種棚卸残高と当期仕入れ高総額合計
と
売上原価と期末商品棚卸高金額の合計
は同じ金額なので、置きおすことができますよね。
総記法において前T/Bの値は期末時点での、【商品】勘定は
借方
売上原価+期末棚卸高
貸方
売上
この貸借差額の数値になります。
借方をマイナスの値
貸方をプラスの値
とすると
売上-(売上原価+期末棚卸高)
です。
売上-売上原価=売上総利益なので
売上-(売上原価+期末棚卸高)は
売上総利益の金額より当期の在庫金額(期末棚卸高)分少ない金額になります。
本来は【売上原価】だけを引けば、売上総利益になるのですが
【売上原価】から【当期の在庫分】引いていないので、その分金額が大きくなります。
引く金額が大きくなれば、出てくる答え(売上総利益)も【当期の在庫金額】分小さい値になります。
売上総利益(=商品売買益)をもとめたいのですから 前T/Bの値に、当期の棚卸在庫を足せば、売上総利益がでます。
つまり公式(赤字)で売上総利益(商品売買益)が求まるってことです。
商品売買益=商品勘定の決算整理前残高(前T/B)(貸方残高)+期末商品棚卸高
商品売買益=期末商品棚卸高ー商品勘定の決算整理前残高(前T/B)(仮方残高)
もう一つ(青字)の公式「 期末商品棚卸高−前T/B」とはどういう意味でしょうか?
じつは、やっていることは、赤字の公式と一緒です。
【売上総利益−当期の棚卸在庫(前T/Bの値)】がマイナスの値になっただけです。
決算日の商品勘定が借方残高になったということです。
【前T/Bの値】に【期末商品棚卸高】の金額を+しているので
前T/Bの値が−なので、順番を入れ替えているだけです。
商品勘定の決算整理前残高(前T/B)が借方残高ということは、 どういうことでしょうか?
理由は3つ
- 借方の金額がメチャクチャでかい→仕入がメチャクチャ多かった
- 貸方の金額がメチャクチャ少ない→商品があまり売れなかった→在庫が死ぬほど余った
- ①と②の両方
という状態です。
商品勘定の決算整理前残高(前T/B)の値が貸方残高だろうが、借方残高だろうが、貸方側に「期末商品棚卸高」を加えればいいのです。
売上高ー(期首商品棚卸高+当期商品仕入高)がプラスの値だと貸方残高
売上高ー(期首商品棚卸高+当期商品仕入高)がマイナスの値だと借方残高
になるだけです。
商品売買益=商品勘定の決算整理前残高(前T/B)(貸方残高)+期末商品棚卸高
商品売買益=期末商品棚卸高ー商品勘定の決算整理前残高(前T/B)(仮方残高)
2つの公式はともに、やってることは同じで、貸方に当期末棚卸高をくわえているだけです。